アトピー性皮膚炎

アトピーなどの家族がいること

家族が、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・気管支ぜんそく・結膜炎などにかかったことがある方は、アトピー性皮膚炎を発症しやすいものです。

炎症は、体内に侵入した異物や刺激を免疫が取り除こうとして起こります。アトピー性皮膚炎は、本来防御する必要のないものに過剰に反応して免疫異常になっている状態です。家族にアトピー性皮膚炎などの方がいると、遺伝によって同じように免疫異常を起こしやすいと考えてよいでしょう。

皮膚のバリア機能が低下すること

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能低下によっても発症します。

表面の皮脂膜やその下にある角質細胞・角質細胞間脂質などのバリア機能が弱まると、異物が外部から皮膚に入りこみます。体内に侵入した異物や刺激を免疫が取り除こうとして炎症が起こります。

皮膚を掻いたり、紫外線を浴びたり、刺激が強い石けんを使ったりするのはおすすめできません。これらによって乾燥したまま放っておくとかゆみが出てしまい肌を掻いてしまうなど悪循環に陥るため、ケアも大切です。

外用薬

アトピー性皮膚炎はステロイド外用薬と非ステロイド系抗炎症外用薬を組み合わせて治療をおこないます。

ステロイドは、体内の炎症や免疫力を抑える働きを持つホルモンの１種です。5段階の強さがあるため、重症度や塗る部位に合わせて選びます。

非ステロイド系抗炎症外用薬には、以下のようなものがあります。

• ステロイド外用薬
• タクロリムス水和物軟膏
• デルゴシチニブ軟膏
• ジファミラスト軟膏

など

内服薬

かゆみを抑えるため、補助的に免疫抑制機能を持つ抗アレルギー薬を処方することがあります。

• 経口ヤヌスキナーゼ（JAK）阻害薬

など

注射薬

全身で強い炎症を起こしている場合は、皮疹やかゆみの原因を抑える注射薬も有効です。

• ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体注射
• ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体注射

など

光線治療

ステロイド外用薬などで改善しなければ「エキシマライト」という機器によって光線治療をすることがあります。これは、紫外線の免疫抑制作用によって症状を沈静化させる方法です。

紫外線のUVBのなかでも波長領域が308nmの紫外線を用いて治療をおこないます。この紫外線は、さまざまな皮膚疾患に有効です。

入浴方法を工夫する

アトピー性皮膚炎は、肌を掻かないようにすることが大切です。そのためには炎症を進めない工夫やかゆみを抑える工夫をしましょう。

入浴方法によっても悪化を予防することができます。

• 入浴回数を減らす
• 湯船に浸かる際は、お湯の温度をぬるくする
• 低刺激や弱酸性の石けん代用品を使用する
• 入浴後は、体を軽く叩くように乾かす
• 皮膚が湿っているあいだに、保湿剤や軟膏などを塗る

疲労やストレスを軽減する

アトピー性皮膚炎は、疲労やストレスが溜まることで悪化するとされています。生活リズムを整えて、しっかり睡眠をとることが重要です。また、精神的なストレスが溜まらないよう生活環境や人間関係を整えることも予防につながりますまた、精神的ストレスのたまらない生活環境をつくることが重要です。